日本は世界で最も文化的影響力のある国のトップ5にランクインしました。

アメリカのニュース雑誌「U.S. News & World Report」が発表した「世界で最も優れた国」ランキングでは、9 つ​​のカテゴリで国を総合的に評価しています。ここでは、そのうちの 1 つである「文化的影響力」に焦点を絞り、世界で最も文化的影響力を持つ上位 20 か国を紹介します。「文化的影響力」ランキングは、国の芸術、料理、ファッション、スポーツ、音楽、映画産業が世界に及ぼす影響を測定します。さっそく、世界で「文化的影響力が最も大きい上位 20 か国」を見ていきましょう。

20 位: ニュージーランド

イギリスとポリネシアの文化遺産が豊かに融合したニュージーランドには、マオリ、ヨーロッパ、ポリネシア、アジアのコミュニティなど、多様な人々が住んでいます。ヨーロッパ系の人々が人口の約 70% を占めていますが、マオリ文化は日常生活に欠かせない要素であり続けています。スポーツの世界では、ニュージーランドのラグビーチーム「オールブラックス」は、ラグビーワールドカップなどのトーナメントで圧倒的な強さを見せ、ラグビーファンでない人にも世界中で知られています。興味深いことに、バンジージャンプもニュージーランド発祥で、ニュージーランドの文化遺産にさらなる付加価値をもたらしています。

19位:メキシコ

世界最大のスペイン語人口を抱えるメキシコは、文化的影響力が顕著です。メキシコの芸術は、アステカやマヤなどの文明の古代の伝統を反映しており、これらの文化的遺産を現代に引き継いでいます。1920年代と1930年代のメキシコルネッサンス(またはメキシコ壁画運動)は、公共の壁画を数多く残し、誰もが芸術に触れることができるようにしました。さらに、メキシコは世界的なサッカーシーンでも重要な役割を果たしており、情熱的なスポーツ文化が世界中に響き渡っています。

18位:シンガポール

19世紀にイギリス東インド会社の貿易拠点として設立されたシンガポールは、活気に満ちた文化の中心地へと成長しました。英語と現地の方言が混ざった独特のシングリッシュが一般的に話されていますが、この国では北京語、英語、マレー語、タミル語の4つの公用語が認められています。シンガポールは、中国、インド、西洋の料理の伝統が融合した多様な料理、東洋と西洋の両方の影響を反映したユニークな建築や文化祭で、世界中から観光客を惹きつけています。政府は民間部門と協力して観光を促進し、ユニバーサル・スタジオ・シンガポールやセントーサ島のリゾート・ワールド・セントーサなど、世界的に注目を集める主要なアトラクションを生み出しています。

17位:オランダ

チューリップで有名なオランダは、高度な機械化農業のおかげで、米国に次ぐ世界第2位の農産物輸出国となっています。国土の約 4 分の 1 が海面下にあるオランダには、自転車専用道路が広範囲に張り巡らされており、自転車は最も人気のある交通手段となっています。オランダの文化遺産は特に芸術に強く、フィンセント ファン ゴッホ、ヨハネス フェルメール、レンブラントなどの有名な画家を輩出しています。現代のポップ カルチャーでは、オランダはエレクトロニック ダンス ミュージックでも知られ、アーミン ファン ブーレンやティエストなどの世界的に有名な DJ を擁しています。また、有名な児童書のキャラクターであるミッフィーなどの愛される文化的アイコンもこの地で生まれました。

◆16位 ブラジル

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ポルトガル、先住民、アフリカの影響を受けるブラジルの文化は、異なる民族の持ち寄る文化が入り混じったメルティングポット。国で話されている言語に関しても、公用語はポルトガル語だが、先住民のインディオなどから影響を受けている。ブラジルの文化といえばカーニバルとサンバだろう。敬虔なキリスト教徒が多いブラジルでは、毎年2月ごろの四旬節の始まりを4日間にわたるカーニバルで祝う。また、スポーツの分野ではサッカーが有名でサッカー王国と呼ばれている。

◆15位 カナダ

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移民を多く受け入れているカナダは、すべての国民が自国の文化を尊重することを奨励し、多文化主義を国是としている。しかし同時に、先住民族への迫害の歴史や、フランス語圏のケベック州の人々の懸念に関連する国家的な課題も抱えている。エンターテインメント業界で活躍する大物にはカナダ出身の人物も多く、ライアン・レイノルズ、キアヌ・リーズス、アヴリル・ラヴィーン、ドレイク、ジャスティン・ビーバーなど枚挙にいとまがない。また、アイスホッケーなどスポーツの分野でも世界的に高い評価を受けている。

◆14位 アラブ首長国連邦(UAE)

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アラブ首長国連邦は、1969年から石油輸出を開始し経済が急成長。アラブ諸国で最も競争力のある経済国だが、宗教的な関係もあり政治は保守的。商業などの中心はアブダビとドバイで、アブダビにはイスラム教のモスク、キリスト教の教会、ユダヤ教のシナゴーグの3つを1ヶ所に集めた宗教施設「アブラハム・ファミリー・ハウス」を建設中。2022年内のオープンを目指している。完成すれば、聖地をめぐって対立を繰り返す3つの宗教が共存する、究極の宗教施設となる予定だ。また、超高層ビルが立ち並ぶドバイは、世界最大のビルであるブルジュ・ハリファを有する。

◆13位 スウェーデン

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人権、公共サービス、持続可能性への取り組みにより、国際問題においてリーダーの地位を確立するスウェーデン。資本主義的でありながら、公共サービスへの支出比率が高いことで知られている。医療、大学教育は無料。ゴミはほとんどすべてがリサイクルされているという。環境問題への取り組みで有名なグレタ・トゥーンベリもスウェーデン出身だ。近年、スウェーデンの知名度と人気に貢献しているのは家具量販店イケアの国際的進出だろう。根強い人気を誇る北欧家具に加え、店内のフードコートで提供されるスウェーデン・ミートボールなどで、その食文化に触れるきっかけを消費者に与えている。

◆12位 ギリシャ

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ギリシャは山や丘、海岸線が織りなす風景と豊かな文化遺産で、世界で最も観光客が訪れる国の一つ。独立国としては19世紀以降と歴史は浅いギリシャだが、文明的には史上最も古く、民主主義の概念や古代オリンピックなど、その影響は科学、芸術、哲学など広域にわたる。2009年からの景気後退を発端に長年にわたる政府の赤字支出が露呈。ギリシャ危機と呼ばれる経済危機を起こしたが、国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)がギリシャ政府に対する緊急の緊縮財政プログラムを開始して終息させた。

◆11位 中国

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世界四大文明国の一つである中国は、何世紀にもわたり世界に文化的影響を与えてきた。万里の長城をはじめとする世界遺産は国内に56ヶ所。世界最多の人口を抱え、世界で最も急速に成長している主要経済国の一つだ。いまや国際都市でなくとも楽しむことができる中華料理、鍼や漢方などの医学といった、生活に密着した文化的影響を与えている。一方、環境問題や人権政策で批判を受けたり、人口増加と天然資源のバランス、所得格差の拡大など、国内問題も提起されている。

◆10位 オーストラリア

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英誌エコノミストの「世界で最も住みやすい都市ランキング」のトップ10内に4都市がランクインするオーストラリア。英国王を儀礼的な国家元首として冠するこの国では、イギリス文化と、先住民であるアボリジナルの文化が混ざり合う。近年では、非英語圏からの移民が増えたことで人口構成が変化し、大衆文化にも影響を与えている。エンターテインメント産業で多くの著名人を送り出しており、音楽ではAC/DC、ゴティエ、カイリー・ミノーグ、キース・アーバン。映画ではニコール・キッドマン、クリス・ヘムズワース、ケイト・ブランシェットなどがオーストラリア出身だ。

◆9位 ドイツ

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欧州連合諸国で最も人口の多い国であるドイツは、世界でも有数の経済大国。古くから自然科学や社会科学、芸術の分野で世界的に著名な人物を輩出している。ノーベル賞を受賞した理論物理学者のアルベルト・アインシュタイン、思想家のカント、マルクス、活版印刷を発明したグーテンベルクなど、学校の教科書で取り上げられるような人物も多い。また、音楽の分野では、ベートーベン、モーツァルト、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ、ワーグナー、近代音楽では、テクノミュージックがドイツ発祥とされている。また、民俗祭もここ最近は知られてきており、とくにオクトーバーフェストは世界各国で開催されている。

◆8位 スイス

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世界で最も裕福な国の一つであり、中立の立場を取り続けていることで知られるスイス連邦。ノーベル賞受賞者数、特許登録者数ともに他国を圧倒する。地理的にウィンタースポーツが盛んで、冬季オリンピックでは毎回多くのメダルを獲得。近隣ヨーロッパ諸国に圧倒されがちだが、芸術界に新しい風を吹き込んだダダイズムやスイススタイルは同国発祥だ。国内では年間を通じて何百ものイベントが開催され、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)、ラウバーホルン・スキーワールドカップ、オメガ・ヨーロピアンマスターズ、パレオフェスティバル、ロカルノ映画祭などは世界中から注目されている。

◆7位 大韓民国

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大韓民国(通称・韓国)は、かつては経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会から援助を受けていたが、OECD加盟から13年後に援助供与国となり、国家ブランドイメージを高めた。サムスン電子、ヒョンデ(現代自動車)、起亜自動車などの大企業を有する。特筆すべきはエンターテインメント分野で、2019年公開の『パラサイト 半地下の家族』が翌年の第92回アカデミー賞授与式で監督賞、脚本賞、国際長編映画賞、そして英語以外の作品としては初となる作品賞を受賞。加えて、音楽分野のK-POPは世界中にファンを抱え、男性グループのBTSは英詩で2021年にリリースした『Butter』で、ビルボードのホットチャート連続1位を獲得した。

◆6位 イギリス

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イギリスは国際的に大きな影響力を持つ先進国だが、欧州連合から離脱したことで、世界における同国の役割に疑問が投げかけられた。芸術に大きな貢献をしてきた歴史を持ち、ウィリアム・シェイクスピア、トマス・モア、ミルトン、ダニエル・デフォーなどが偉大な著書を世に送り出している。また、科学技術の最前線でもあり、世界的に権威ある科学雑誌ネイチャーは同国で発行されている。重力、水素、ペニシリンの発見などの業績もあるが、近年では宇宙論で画期的な研究を行ったスティーブン・ホーキングと、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)を考案したコンピューター科学者のティム・バーナーズ・リーがよく知られている。

◆5位 スペイン

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16世紀から17世紀にかけて、海洋力と植民地主義による富で世界のリーダーとしての地位を確立したスペイン。産業革命など世界の動きに遅れを取ったが、1986年の欧州連合加盟を機に、インフラ、産業、経済政策が近代化。貿易の自由化により、繊維、靴、機械、オリーブ、ワインなどの輸出品に高い需要が生まれ、食文化なども広まった。スペインはベラスケス、ゴヤ、ピカソ、ダリなどの芸術家を世に送り出しており、ミゲル・デ・セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』など、文化的業績は大きい。そのほかの文化では、牛追い祭りやフラメンコなどもよく知られている。

◆4位 日本

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世界で最も識字率が高い国、日本。諸外国から文化的影響を受けながらも、古くからの伝統も重んじ、和洋混合のユニークな生活様式を作り出している。伝統芸術・古典芸能として世界から注目を集めるものは、茶道、華道、歌舞伎、能、日本庭園、俳句など枚挙にいとまがない。また、寿司、会席・懐石料理などを含めた和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、食文化も世界に大きな影響を与えている。スポーツの分野では相撲、柔道がよく知られていたが、近年になり野球、サッカー、フィギュアスケートなどでも世界に通用する選手を輩出するようになり、注目を集めている。

◆3位 アメリカ

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世界で最も経済的、軍事的な支配力を持つアメリカは、その文化的影響力も世界で群を抜く。その証拠として、アメリカで起こった市民運動「# MeToo」「ブラック・ライブズ・マター」は世界中に波及した。アメリカは文化的にも人種的にも多様で、ヨーロッパをはじめとする海外からの大規模な移民が文学、芸術、音楽を築き上げてきた。移民が作り上げた文化として代表されるものにジャズ音楽がある。アフリカ系アメリカ人の間から生まれたこの音楽は、のちの音楽界にさまざまな影響を与えた。また、アメリカは映画、音楽、テレビなどのメディ産業でも世界をリードしており、その中心地となるロサンゼルス市のハリウッドは世界的に知られている。

◆2位 フランス

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フランスは世界で最も歴史ある国の一つで、その影響は科学、政治、経済、文化を通じて世界中に及ぶ。芸術、文学、ファッション、音楽、食文化など、あらゆる方面で世界に影響を与えている。国内にも多くの文化遺産を有し、フランス文化に少しでも触れようと観光客が絶えない。そんなフランスだが、一般には余り知られていない文化を一つ紹介したい。それは、フランスは文化として数学が根付いているといわれていることだ。最近になって少し様子は変わってきているようだが、フランスはデカルトやフェルマー、パスカルなどを輩出。数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞に輝く研究者はアメリカに次いで多い。

◆1位 イタリア

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イタリアは毎年4000万人以上の観光客が訪れる人気の国。ミラノのハイファッションなどがよく知られるイタリアは、常に世界に多大な文化的影響を与えている。14世紀から始まった古代ギリシャ、ローマの古典文化を復興させようとしたルネサンス運動も、同国から起こった。芸術の分野では、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなど、非常に著名な芸術家を輩出。また、イタリアの食文化は世界中に受け入れられており、ピザやパスタ以外にも、フォカッチャ、生ハム、ミネストローネなど、普段から口にすることが多い料理もイタリア発祥である。

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ウェル・エイジングって何? アンチ・エイジングとは何が違うの?

ウェル・エイジング。 聞きなれない言葉ですね。 エイジングは、「老いること」。 ウェル・エイジングは、「よく老いること」です。  老いにはネガティブなイメージがありますが、そこにポジティブな意味を見いだそうとするのが、「ウェル・エイジング」です。  数か月前に、日本応用心理学会から、公開シンポジウムの講演依頼を受けたのですが、「ウェル・エイジング」という言葉を聞いたのは、このときが初めてでした。  「ウェル・エイジングって何?」という問いに、私なりの答えを考えて、先日のシンポジウムで講演しました。  シンポジウムでは、心理学や行動科学の専門家、高齢者を支える仕組みを作る起業家、緩和ケア医など、様々な立場の方々が講演し、それぞれの、「ウェル・エイジング」の考え方や取り組みを紹介しました。  そんな皆さんと議論する中で、このテーマの奥深さがわかってきました。「よりよく老いる」を考えることで、自分の気持ちがラクになり、未来が明るく感じられるようになることにも気づきました。  今回のコラムでは、私なりに考えた「ウェル・エイジング」を紹介します。ぜひ皆さんも、自分なりの「よりよい老い」を考えてみてください。 「病気」と「老い」の共通点とは?  私は腫瘍内科医で、普段は、がん患者さんとともに、「がん」という病気との向き合い方を考えています。この連載コラムで書いてきたテーマも、ほとんどが、病気との向き合い方です。  「老い」のテーマを与えられて、まず考えたのは、「病気」と「老い」の共通点でした。  仏教では、人間として避けることのできない四つの根源的な苦しみとして、「生老病死」という「四苦」があると言われます。生まれること、老いること、病を得ること、死ぬことの四つです。  「老い」も「病気」も、生まれた以上避けることができない必然であり、いずれは「死」にもつながっていくものです。生と死の間にある二つの苦しみ、「老い」と「病気」との向き合い方には、共通点がありそうです。  私が、がんとの向き合い方で大切にしているのは、  「がんがあっても自分らしく」  「気持ちがラクになるような考え方を」  「『マスト』ではなく『ウォント』を大切に」  といったことです。  これらの話を、「老い」に当てはめてみたところ、意外にすんなりとおさまることに気づきました。  そこで、シンポジウムでの講演のタイトルは、  「気持ちがラクになる『老い』『がん』との向き合い方」  とし、これまで、がんとの向き合い方として考えてきたことを、「老い」に置き換えて考えてみることにしました。 年を重ねても自分らしく生きる「ウェル・エイジング」  老いることは、けっしてネガティブなことばかりではなく、年を重ねても、自分らしく生きることができますし、むしろ、年を重ねることによって、人生を深めることができます。「ウェル・エイジング」というのは、それを目指す考え方です。  「自分らしさ」には、いろんな見方がありますが、「あるがままの自分でいること」は、大事な要素でしょう。他人の目を気にして、「○○でなければいけない」という「マスト」に縛られるのではなく、自分が本当にやりたい、一番大切にしたい「ウォント」に従うのが、「自分らしさ」や「ウェル・エイジング」につながるはずです。 アンチ・エイジングには無理がある  似たような言葉として、「アンチ・エイジング」がありますが、こちらは、老いにあらがうもので、「いつまでも若くいたい」「若返りたい」という多くの人の願望を実現しようとする考え方です。  「アンチ・エイジング」が自然に実現できればよいのでしょうが、われわれは、命ある生き物であり、時の流れとともに、年を重ねていくのが宿命で、「アンチ・エイジング」にはどこかで無理が生じます。  「アンチ・エイジング」では、「若いときのままの自分でいなければいけない」というマスト思考に縛られ、若かった頃の自分を基準に比較してしまいますので、「老い」も「病気」もネガティブなものにしか見えません。年を重ねていくごとに、「何かを失っていく」という感覚に陥りがちです。  これに対して、「ウェル・エイジング」は、老いゆく自分を受け止めた上で、年相応、あるがままに生きていくという考え方です。  宿命にあらがうのではなく、身をゆだねたうえで、「よりよい老い」を目指せるのではないか。「ウェル・エイジング」の出発点はそこにあります。  やりたいことを自分のペースでやり、やりたくないことは無理しない、というのが基本です。  できることには限りがあるかもしれませんが、うまく折り合いをつけながら、「ウォント」を見つけていく作業も楽しいものです。「年とともに人生を積み上げていく」感覚です。 老いは年を重ねてきた証しとして尊重すべきもの  運動や食事ががんに対してどのように影響するかというのは、皆さんの関心が高いテーマですが、運動や食事は、「老い」にも関係していると考えられています。ただ、運動や食事に気をつけることで老いるスピードを緩められるとしても、それが「マスト」であってはいけないと思っています。  苦痛に耐えながら、好きな食事を我慢しながら、老いにあらがおうとするよりも、老いを受け止めつつ、気持ちよく運動し、食べたいものをおいしく食べて、人生を楽しむ方がよいでしょう。  私は、腫瘍内科医として、小・中・高等学校での「がん教育」に力を入れていますが、がん教育で、子どもたちに伝えている大事なメッセージは、次の三つです。  (1)誰もががんになる可能性があるけど、がんになっても大丈夫な社会に  (2)治らないがんでも、幸せを目指すことができる  (3)大切な人ががんになっても、今までどおり普通に  がんだけでなく、「老い」についても学ぶ「エイジング教育」というのを想像してみました。もし「エイジング教育」をするとなったら、伝えるべきメッセージは次のようなものになるでしょう。  (1)年を重ねても、誰もが自分らしく過ごせる社会に  (2)生老病死は避けられないけど、それを受け止めながら、幸せな人生を  (3)老いは隠すものではなく、年を重ねてきた証しとして尊重すべきもの  これらは、子供だけでなく、大人にも必要なメッセージですね。  がんという病気には、過剰なイメージがつきまとい、がんそのものよりも、イメージでつらい思いをしている患者さんが多くいます。  同じように、「老い」についても、「恥ずかしくて隠すべきもの」といった、ネガティブなイメージがつきまとっていて、これが「ウェル・エイジング」を妨げる障壁になっているようです。  深く根付いたイメージを 払拭ふっしょく するのは容易ではありませんが、少なくとも、イメージで決めつけないように気をつけたいものです。 アンチ・エイジングからウェル・エイジングへ  ネガティブなイメージの強いがんは、他の病気よりも、「ゼロにしなければいけない」「ゼロにできなければ絶望だ」と思われる傾向があります。  「ゼロがん」の考え方ですが、治すのが難しい進行がんの場合は、「withがん」で考えた方がよさそうです。がんがゼロであるかどうかにこだわるのではなく、がんがあっても、「いい状態で長生きすること」「幸せを感じられること」を大事にする考え方です。  これは、「withコロナ」から学んだ考え方でもあります。コロナ禍の初期には、コロナを封じ込める「ゼロコロナ」が目指されていましたが、その後、コロナと共存して社会を動かす「withコロナ」の考え方にシフトし、コロナ禍を乗り越えました。  病気をゼロにしなければいけないという考えにこだわると、不安を招き、差別を生み、病気との共存が妨げられますが、病気との共存を受け入れれば、心の余裕が生まれ、支え合いの文化が広がり、病気があっても自分らしく過ごせる社会につながります。  同じことが、「老い」にも当てはまります。老いを避けたり隠したりするのではなく、老いと自然に共存することができれば、心の余裕、支え合い、成熟した社会につながっていくはずです。  「ゼロコロナ」「ゼロがん」から「withコロナ」「withがん」へのシフトと同じように、「アンチ・エイジング」から「ウェル・エイジング」へのシフトができれば、生老病死と向き合いながら、ラクな気持ちで、彩り豊かな人生を送れるのではないでしょうか。  生老病死の四つ目の「死」もまた、避けられないものですが、死があるからこそ、豊かな生があるわけで、自分の「死」についても、きちんと考えておく必要があるのでしょう。  老いや病気と向き合い、よりよく老いていく先には、「よりよい死」があります。あまり考えたくないことではありますが、よりよく生きるために、一度は想像しておいた方がよいと思っています。  ウェル・エイジングという言葉をきっかけに、考えたことを書き連ねてみましたが、人間の存在にかかわる哲学的なテーマだというのがわかります。  生老病死は「四苦」とされていますが、けっしてネガティブなだけのものではなく、それらときちんと向き合うことで、「よりよい生」や「幸せ」が見えてくるはずです。  私は、腫瘍内科医として、生老病死の現実を受け止めつつ、その中で医療にできることを考え、一人ひとりの幸せを支えていきたいと思っています。  これを読んでくださった方には、ぜひ、ご自身の、あるいは、社会全体の「ウェル・エイジング」を考え、身近な人たちとも語り合っていただきたいと思います。  みんなで、よりよく年を重ねていきましょう。 (高野利実 がん研有明病院院長補佐)