「豚汁なんて、夜中に目が覚めてお玉から飲んだりしなかった?」笠原将弘さんの食べれば健康になる”ご自愛めし”

「豚汁なんて、夜中に目が覚めて、ぬるいのをお玉から飲んだりしなかった?」人気料理人・笠原将弘さん(52)の食べれば健康になる“ご自愛めし”《週刊文春で新連載スタート》(中岡 愛子)笠原将弘さんインタビュー#1

寝る間を惜しむように働くなかで、よく食べよく飲み、仕事終わりのサウナが日課── 東京・恵比寿の日本料理店「賛否両論」店主の笠原将弘さんはいま、50代を生きている。『週刊文春』で“健康”をテーマにした新連載「笠原将弘のご自愛めし ちゃんと食ってるか!?」をスタートさせた笠原さんに、50代と汁物の関係、自身の健康を保つ秘訣を伺った。(全2回の1回目/続きを読む)

撮影 志水隆/文藝春秋

◆◆◆

『週刊文春』で新連載スタート。第1回のレシピは…

――4月3日発売の『週刊文春』で始まった新連載は、季節のお題(お悩み)を笠原さんにレシピで解決していただくというもので。笠原さんの回答がものすごくおもしろかったです。初回のお題は、突然単身赴任を命じられた50代の男性が、外食続きで健康面を心配してらして、それに対する回答が…。

笠原将弘さん(以下、笠原) 50代の男には豚汁が似合います。

――なぜ豚汁?

笠原 なんか、似合わないですか。俺も好きだし。20代、30代はまだちょっと似合わないし、40代も微妙に違って、汁物が好きになってきたら50代だと思う。

――汁物が染みる年頃、ですか。ご自分でも思います?

笠原 思いますよ。若い頃は、定食屋に入って「生姜焼き定食」は頼んでも、「豚汁定食」ってなかなか言わないじゃん。

――「賛否両論」をオープンされたときは32歳だった笠原さんも、いまでは50代に。食べ物の嗜好は変わりましたか?

笠原 すごく変わりましたよ。

――どういうところが変わりました?

笠原 やっぱり野菜をいっぱい食べたいなって思うようになりました。

――笠原さんの好物は、ビール以外だとなんでしょう?

笠原 ビールと…あとは白いごはんが好きだね。それから、お蕎麦。若いときは、蕎麦よりもうどんのほうが似合う。勝手なイメージだけど。

――誌面で紹介されている「春野菜の具沢山豚汁」のおともも、白いごはんとお漬物で。

笠原 充分です、それで。おかずがたくさんあるよりも、たいしておかずがなくても、ごはんをいっぱい炊いてあるほうが好き。それに、具沢山の味噌汁は、それだけで立派なおかずになります。

――こんにゃくの食感もよくて、セリの香りが爽やかで、分量通りにつくったらけっこうたっぷりできあがりました。

笠原 だし600mlで、だいたい2~3人分。こういう汁物は、そんなちょっとつくるもんじゃないと俺は思ってる。50代でいきなりの単身赴任なんだから、1回分つくって終わらせる必要はなくて、たっぷりつくっておけばいい。

翌朝に温めなおして飲んでも?

――翌朝に温め直して飲んでも?

笠原 全然大丈夫ですよ。豚汁なんて、夜中に目が覚めて、ぬるいのをお玉から飲んだりしなかった?

――え、それはお腹が減って?

笠原 酒飲んだ夜なんか、汁もんが飲みたいなって。台所でこっそりと。

――笠原さんは鍋のままなにか食べることありますか?

笠原 ありますよ、ふつうに。

――え、いまも?

笠原 「サッポロ一番」なんか、家で一人のときに。

――単身赴任については、どう思われますか。

笠原 家族が一緒についてきてくれなかったわけでしょう。かわいそうに…。俺のまわりにも多いけど、大企業になればなるほど、突然辞令が下るっていうしね。そういう意味では、うちのほうがよっぽどやさしくて、若いスタッフに「春から名古屋店に行ってくれるか」って伝えたら、「いやです」とかね。そういわれるとこっちも、そうか、ってなるじゃん。

――生きていると食だけでは解決できないこともありますが、ときにユーモアを交えながら真面目に向き合うことで、楽しく生き延びよう、みたいな。自分のためにおいしいものをつくれば、自分も家族も楽しく食べて健康になれる── かもしれない。そうなったらいいなと。

笠原 人気連載になればいいよね。

――笠原さんは、どんなふうに“ご自愛”されていますか? 健康面で気をつけていらっしゃることとか。

笠原 仕事終わりにサウナに行くことと、とにかくよく歩くこと。サウナは小さい頃から親父にしょっちゅう連れて行かれて、いまも基本毎日行く。

――サウナではけっこうしっかり温まって、水風呂と交互に?

笠原 しっかりどころじゃないよ。5セットくらいする。歩くというのは、エレベーターやエスカレーターを使わない。それくらいだね、ジムに通ってるわけじゃないし。

――食べることはふつうに?

笠原 好きなものを好きなように食べる。ただお昼だから食べようとか、そういうのはないね。お腹が空いたら食べるし、空かなかったら食べない。日によっては1日1食になっちゃうときもあるし。

でもなんていうのかな、そうしないといけない、やろうって構えると、負担になってくるじゃん。別にお腹が空いてないんだったら、食べなくてもいいし、お腹が空いてるほうが美味しく感じる。そのほうが理にかなってると思うわけよ。それぐらいですよ、モットーにしているのは。

笠原さんが週刊文春で連載をすることを決めたワケ

――こうしないといけない、という思考を手放すことでしょうか。

笠原 あとは電車のなかでスマホをいじらないようにとか。新幹線では仕事をするのでスマホを見ちゃいますけど、そのへんの山手線だなんだって乗ってるときは、まわりがみんなスマホを見てるからね。逆に気持ちわるいなと思って、俺はわざと文庫本を読みますよ。かっこつけて。

――最近なにを読みましたか。

笠原 最近というか、常に読んでるよ。昔から大好きな池波(正太郎)先生、東海林(さだお)先生、伊集院(静)先生。男はやっぱり文庫本だよ。

――今回の新連載は、伊集院静さんの週刊文春での過去の連載「悩むが花」のレシピ版のようなイメージでもありました。もしかするとそれもあって、今回の依頼を受けてくださった?

笠原 うん、まあいいかなあと思って。

――タイトルにもある「ちゃんと食ってるか?」って、お子さんとかまわりに言います?

笠原 あー、若いスタッフには言うねえ。

――なんて返されます? 「食べてます!」とか?

笠原 自分の子どもなんて素っ気ないもんだよね。「はー、食べたー」とか。

――心配されるんですね、お子さんたちがちゃんと食べているかどうか。

笠原 会話のきっかけはどうしてもそうなっちゃうよね。

撮影 志水隆/文藝春秋
スタイリング 遠藤文香

INFORMATION

笠原将弘さんの新連載「笠原将弘のご自愛めし ちゃんと食ってるか!?」は、週刊文春2025年4月10日号(4月3日発売)に掲載されています。「週刊文春 電子版」では、誌面ビューワーでお読みいただくことができます。

〈「親父やカミさんが亡くなるというときにも、お腹は減るじゃん」50代を生きる笠原将弘さん(52)が振り返る人間の“性”〉へ続く

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