老舗北京料理店から看板のないバー、フォトギャラリーまでを紹介
広大な芝生に四季を彩る花々、そして美しい庭園を持つ都会のオアシス「新宿御苑」。花見の名所としても有名で、春には多くの人でにぎわう。
自然に癒やされたら、周辺を散策して新たな魅力を発見しよう。老舗レゲエクラブやアナキズムをメインテーマにした雑貨屋まで、さまざまな顔を見せてくれる。新宿御苑周辺のおすすめスポットを8軒紹介する。
アジュラ

Photo: Kisa Toyoshima
台湾出身のリウェイと妻のハルコが運営する、高田馬場の人気コーヒーショップ「リウェイコーヒースタンド(LIWEI COFFEE STAND)」の2号店「アジュラ(ajura、翹璹欏)」。内装は台湾の伝統的な神社や寺をコンセプトに、台湾製の情趣に富む雑貨や飾りを配し、香の匂いが漂う幻想的な空間だ。
一番人気のメニューは1号店同様、竹墨パウダーを入れ茶筅(ちゃせん)で点てたエスプレッソにミルクを注いで作る「ブラックラテ」。ここ数年で東京でもブラックラテを提供する店が徐々に増えてきたが、同店がその先駆けといえるだろう。同店では、焙煎(ばいせん)段階から色の濃さや味の良し悪しを判断している。
池林坊

画像提供:池林坊
新宿三丁目駅近くにある居酒屋。裏には系列の小劇場、梟門もあることから、演劇や映画関係者が集まり、演劇論で熱くなっている様子を見ることも多い。
店のカウンターは、屋台を模したオリジナル。よく見ると店内には街灯や電線もあり、野外で飲んでいるような気分になれるのも楽しい。
とにかくメニューが豊富だが、誰もが注文する名物は、蒸したての「ジャンボしゅうまい」。
プレイス エム

プレイス エム
新宿御苑駅のほど近くの雑居ビルにあるフォトギャラリー「プレイス エム(Place M)」。写真家の大野伸彦や瀬戸正人、中居裕恭、森山大道らが運営し、企画展のほか、スペースのレンタル提供も行っている。
同ギャラリーを主宰する瀬戸や森山など、大御所写真家の展覧会も開催しているが、若手による作品展も積極的に行い、プロやアマチュア、国籍問わず、作家が写真を発表する場となっているのが特徴だ。3階にある「メインフロア」と2階の「M2 gallery」で、それぞれ異なる内容の展示をしている。
貸し暗室も併設されており、モノクロとカラーともに24時間利用可能。不定期で開催される写真家たちによるトークショーや、ギャラリーで発行する写真集にも注目したい。
新宿御苑

Photo: Lim Chee Wah
世界有数の都心の公園として知られる、新宿のオアシス。もとは皇室庭園として造られ、戦後に一般に開放された。
敷地面積は約58ヘクタール。風景式庭園と整形式庭園、日本庭園が組み合わせれており、一年を通して四季折々の花で彩られる。
日本庭園内には、抹茶和菓子をセットにした、呈茶のサービスを提供する茶室を併設。晴れた週末に、新宿で時間を持て余しているのなら、東京のセントラルパークでピクニックをするしかないだろう。
開園時間は季節によって異なるので、訪れる際には事前に公式ウェブサイトを確認してほしい。なお、酒類の持ち込みと遊具類の使用は禁止されているので注意しよう。
イレギュラー リズム アサイラム

Photo: Kisa Toyoshima
新宿御苑前駅から徒歩5分ほどにある、2004年に開店したインフォショップ「イレギュラー リズム アサイラム(IRREGULAR RHYTHM ASYLUM)」。アナキズムとDIYをメインテーマに、社会運動や対抗文化に関する書籍やZINEのほか、CDやレコード、カセットテープ、Tシャツなどのグッズを取り扱っている。
店舗には展示やイベントスペースがあり、オンラインショップでも購入は可能。置いているものは全て人種差別、クィア、フェミニズムなど、あらゆる問題に向き合うための濃いラインアップが揃う。
レゲエ ダブ オープン

レゲエ ダブ オープン
新宿には小規模のレゲエクラブ「ガラム(GARAM)」もあるが、渋いルーツのレゲエやダブを堪能したければここ。「レゲエ ダブ オープン(REGGAE / DUB OPEN)」のよく整備された巨大サウンドシステムからは、毎夜極太のベースラインが鳴り響いている。
ライブが行われることもあり、古き良き雰囲気を残す東京の老舗レゲエクラブだ。
トイレット

新宿御苑前から靖国通りへ向かう道すがらの2階にあるバー「トイレット(toilet)」。看板一つない入り口から木造家屋の細い階段を上ると、この店はある。
アルコールランプの柔らかな光と、静かに温かい音楽に包まれた店内は、淡々と杯を傾けるのにうってつけ。店奥にはアップライトのピアノが置かれ、生演奏が行われることもある。
同じ空間には、猫足のバスタブ、そしてライアン・マッギンレー(Ryan McGinley)の写真も。ちょっとしたところにセンスが感じられつつも気取らずにいられる、落ち着いた空間だ。
随園別館 新宿店

随園別館 新宿店
新宿御苑の近くにある1963年創業の老舗北京料理店。北京ダックやツバメの巣のような高級食材を使った本格的中華から、点心やタンメンまで豊富なメニューを提供している。
おすすめは「特製水餃子」。皮は厚く、水餃子特有のもっちり感が味わえる。豚ひき肉にしっかり味付けがされたあんは、何も付けずに食べても十分においしく、頬張った瞬間に肉汁があふれ出る。
店頭では冷凍餃子も販売されており、自宅でもそのままの味を楽しめるのがうれしい。
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新宿、ベスト居酒屋20選

Photo: Keisuke Tanigawa
さまざまな人が行き交う都心の歓楽街、新宿。1960年代から70年代にかけては、ヒッピーや、フォーク・ジャズミュージシャン、演劇人らアングラな文化を愛する若者たちが集い、酒を酌み交わすカウンターカルチャーの聖地でもあった。近年では、思い出横丁やゴールデン街に外国人客が押し寄せ、また違った表情を見せている。
ここでは、そんな時代を感じられるチャージフリーのジャズ居酒屋や、三島由紀夫ら文化人も通った老舗、なぜか外国人客でにぎわう店など、予算1,000円から飲める名居酒屋を紹介する。終電を逃したら、はしごしてディープな新宿の夜を謳歌(おうか)しよう。